これまで私は3回(20代で2回、30代で1回)の転職活動をしてきました。
(この度の転職は、2021年のコロナ禍の最中に転職に成功。)
自身の転職活動経験と人事採用の経験から、転職・中途採用の一次面接で聞かれる内容と対策方法を紹介します。
一次面接は「経験・スキルが活かせるか」の確認
中途採用では多くの場合、一次面接・二次面接を行い、その後に内定が出るのが一般的です。
ポイントはそれぞれの面接で聞かれる内容と担当者が変わるということです。
一次面接 | 二次面接 | |
担当者 | ・現場責任者 ・人事担当者 | ・担当役員 ・人事責任者 |
聞かれる内容 | 【働き方】 ・経験・スキルが活かせるか ・即戦力かどうか | 【定着性】 ・求職者と会社のマッチ度合い ・長く働いてくれるか |
一次面接では「経験・スキルが活かせるか=働き方」を中心に、二次面接では求職者の「マッチ度合い=定着性」が確認されます。
(会社によっては逆のパターンもあります。ただし、「現場責任者=働き方の確認」が必ずあると覚えておいてください。)
一次面接では、自身のこれまでのビジネスマンとしての経験、そこから得たスキルを活かせるかどうかを具体的に語る必要があります。
一次面接で実際に聞かれた質問
一次面接ではこれまでの経験・スキルが活かせるかを確認されるものとお話ししました。
次に、私が応募した10数社の一次面接で、実際に聞かれた質問を聞かれた回数が多い順に紹介します。
実際に聞かれた質問
- これまでの経験と実績(自己PR)
- 転職の動機
- 逆質問
- 志望動機
- 他社の選考状況
- 希望条件
1.これまでの経験と実績(自己PR)
ほぼ100%聞かれるのは「これまでの経験と実績(自己PR)」です。
一次面接では、求職者が「即戦力であるか」を確認します。
(ここが新卒採用と中途採用の最も違うところです。)
そのため、過去の経験や実績、物事への取り組み方、志向性の確認のため職務経歴書の内容を詳しく問われます。
経験と実績の質問例
- これまでの職務経歴をご説明ください。
- 職務経歴の〇〇について詳しく教えてください。
- これまでの経験の中で、当社に入って活かせることはありますか。
これらの質問に対しては、
- 結論ファーストで短く。
- 新しい会社で活かせる経験と実績を中心に。
- 具体的に、数字と事実を伝える。
- 課題解決するため、何を考えて行動したか。
ことを心掛けていきましょう。
まずは、職務経歴書の中から募集職種に関わる経験や実績を端的に伝えます。
その後、それらの経験や実績を具体的に、「数字や客観的事実」を踏まえて話をします。
(この時必ず客観的な事実に基づいて話をしましょう。「大変だった」「すごかった」などの主観表現は面接官にはとどきません。)
- どんな課題に対して
- 誰と
- 何をして
- 結果どうなったか(達成数値必須)
- どんな考えのもと課題に取り組んだか
面接担当者に、自分自身をしっかりPRし、「経験を客観的に評価」してもらえるようにしましょう。
2.転職の動機
転職の動機も100%聞かれる質問です。
これは、人事が求職者の「あるポイント」を確認するために行ないます。
転職の動機を質問される理由
- 定着性(すぐに辞めないか)の確認
- ストレス耐性の有無
(他者の選考が進んでいるなら、面接官へプラスに働く可能性あり。)
先に申し上げましたが、人事担当者は「長く働いてくれるかどうか=定着性」を重視します。
それは一次面接を担当する人事担当者でも、二次面接の人事責任者でも変わりません。
「残業が多かった」「パワハラが横行していた」など、本来正当な退職理由です。
しかし、人事担当者は「自社でも起こりえる(または起こっている)問題」としてとらえ、同様の問題起こってもすぐに辞めない人材を欲しています。
要は、すぐに退職しないストレス耐性の有無を確認されていると思ってください。
転職理由は「ポジティブに回答」するのが基本ですが、実際は「残業が多い」「パワハラ」などネガティブな理由での転職の方が多いです。
その場合は下記2つの方法を使い転職動機を作成してみましょう。
ネガティブな理由をポジティブに伝える【ネガポジ】
こういう時はネガティブな意見をポジティブな言い回しに変える「ネガポジ」が生きてきます。
ネガティブ | ポジティブ |
残業が多かった | インプットに使える時間を確保したかった |
サービス残業が横行 | 効率的に働いて成果をあげたい |
社内のパワハラ | チームワークを活かして働きたい |
給与が安かった | 実績を正当に評価してもらいたい |
転職理由をポジティブに伝えることで、人事担当者も「この人は課題を前向きにとらえられる」と感じます。
人事も少しでもポジティブな方の入社させたいと思いますので、担当者から人事責任者への報告もポジティブになるはずです。
ネガティブな転職理由をはっきり伝えた方がいい場合もある
逆に、ネガティブな転職理由でもはっきり伝えた方がいい場合があります。
それは面接官がネガティブな転職理由を深堀してきた場合です。
私がかつて電力系ベンチャーの面接を受けた時のことでした。
転職理由を聞かれたため、ネガポジを用いて現状の変化を伝えたところ、部門責任者の方から、
「退職理由なんかは人それぞれ。その問題解決のためにどう動いたのかが問題だ。」
とはっきり言われ驚いたことがあります。
ネガティブに転職理由を伝えてはダメと思っていた私には衝撃的な返答でした。
(後日確認したところ、担当責任者は「転職でキャリアアップしてきたプロのビジネスマン」だったようです。)
「問題解決の為にどう考え行動するか」
ということがどのような場面でも必要だと改めて気づかされた体験でした。
面接官から深く問われた場合は転職理由がネガティブなものでもはっきりと伝えましょう。
正々堂々伝えることが大切です。
3.逆質問
逆質問も100%聞かれる質問です。
この質問が出るときの面接官の気持ちは以下の通り。
逆質問される理由
- 自分たちの企業をどれだけ知ろうとしてくれているか
- 自分のキャリアをどう生かそうとしているか
逆質問は「求職者がどれだけの時間を使って応募企業を調べたか」がはっきりわかるポイントです。
面接官は「自分の会社にどれくらい興味を持ってくれているか」を測っています。
誰でも自分の会社に興味を持たれたり褒めてもらえばうれしいものです。
そこをポイントにして、下記内容を含んだ質問をしましょう。
逆質問への回答ポイント
- 長所を生かせるポイントがあるか
- 自身と企業の相性があっているか
(他者の選考が進んでいるなら、面接官へプラスに働く可能性あり。)
応募企業を決める際、自らの経験・スキルを活かせるだろうことを想定して申し込んでいるはずです。
では、その具体的な場所や環境を確認することで、「自分が最も活きる姿」を面接官に想像してもらいましょう。
ポイントとなるのは、「面接官が想像する」という点です。
面接官が活躍シーンを想像し返答する内容は、「ポジティブなもの」になる可能性が高いです。
多くの場合、逆質問は面接の最後に行われます。
終わり良ければすべて良し。
「逆質問にポジティブに回答してもらう」ことで、面接結果すらポジティブに変えてしまいましょう。
4.志望動機
志望動機は、実は70~80%ほど確認されます。
これは実際に転職活動をしてかなり驚きました。
新卒の就職活動では1番か2番目にほぼ100%質問されますが、実は転職面接では重要視されなくなります。
志望動機が重要ではない理由はただ一つ。
志望動機を重要視しない理由
- 中途入社は「即戦力か否か」がすべて
だからです。
中途採用では「即戦力か否か」が判断基準のほぼすべて。
中途採用が行なわれるのは「欠員補充」または「事業希望拡大のための増員」がほとんどです。
現場が火を噴き、一日でも早い補充を要求してくる中、一次面接の現場責任者は「経験・スキルを持ち即戦力となるスタッフが欲しい」のです。
そのため一次面接で志望動機を聞かれた場合は、「即戦力(+ビジョンに共感、やる気がある)」という点をアピールする必要があります。
志望動機への回答ポイント
- ビジョン(企業理念)への共感を大前提とし、
- 募集業務に活かせる経験・スキルをアピールする。
この軸で回答できれば、一次面接の現場責任者と人事担当者への十分なアピールとなるはずです。
5.他社の選考状況
この質問も70%近い確率で確認されます。
私も人事で新卒採用をしていた際、多くの場合この質問をしました。
選考状況を聞かれる理由
- 次の選考・内定までの期間の調整のため
- 志望理由や業界の一貫性のチェック
- どのような企業が欲しいと思う人材か
この質問は、求職者を次回選考に進めるための「客観的な推薦理由(エビデンス)」を得るために質問をしていました。
人事担当者はあくまでサラリーマン。上長や役員に対して「面接時間をとってもらう」必要があります。
そこで必要となるのは
- 面接から得られた「主観的な推薦理由」
- 他社選考状況から得られる「客観的な推薦理由」
の2つです。
主観性は否定されがちですが、「他社の選考状況=客観的な推薦理由(エビデンス)」として面接官の推薦根拠となるのです。
ちなみに私の転職の際、この質問が「最終面接い参加する社長から」出た3社はすべて内定をいただきました。
(もちろん社交辞令で確認することもありますので、過度な期待は禁物です。)
面接内で選考状況を聞かれたときは、「正直に現在の状況を話す」ようにしてください。
誰かが欲しいと思っている人を欲しくなるのは、恋愛も転職面接も一緒です。
選考状況への回答ポイント
- 正直に現在の他社選考状況を話す。
(他者の選考が進んでいるなら、面接官へプラスに働く可能性あり。)
6.希望条件
希望条件は約60%ほどの企業で聞かれました。
この質問をされる理由は以下の通り。
希望条件を質問される理由
- 現職の年収と企業側が提示可能な年収の差の確認
多くの場合、希望条件の確認は「年収」をベースに行われます。
人事担当者は、「現職の年収と企業が提示できる年収の差」でミスマッチが起こらないよう事前にこの質問をしています。
募集企業は、基本的に求人に記載された募集金額内での収入を提示しますので、「募集金額内(高くても現年収前後)希望」と回答するのが一般的です。
内容確認後は下記のようなやり取りが募集企業内で行われます。
現職年収が募集年収以内の場合
・現職年収前後で給与を提示。
※①他社選考が進んでいる
②提示年収が自社提示額より高い場合
→ 提示される年収引き上げの可能性あり
現年収が募集年収を超える場合
・どうしても欲しい人材 → 現職年収まで提示額UP
・そこまでの人材 → お断り
先ほど「募集金額内(高くても現年数前後)希望」との回答をすすめましたが、例外があります。
それは他社が最終選考まで進んでいる、または面接実施企業の募集額より高い年収で条件提示されている場合です。
私の経験上、「5.他社の選考状況」が最終面接結果待ち、または内定提示済み場合はほぼ確実に希望条件の確認が行われます。
(過去に、二次面接を飛ばして社長面接に進んだこともあります。)
「採用したい人材に他社がより高い年収を提示した場合」「どうしても採用したい人材だった場合」は求職者の年収提示額、または他社の年収提示額をもとに、社内で受け入れポジションと年収の再調整が行なうことが多いです。
希望条件の質問では、他社選考が進んでいる場合、または他社から条件が提示されている場合、その提示条件を伝えましょう。
より好条件での入社が可能な場合があります。
まとめ
一次面接は採用ポジションの現場責任者、人事担当者が面接をすることが多くなります。
現場責任者は「即戦力になるか」ポイントに面接をしますので、自身のキャリアでの経験、スキルの棚卸を徹底。
職務経歴書に記載したうえで、事実を定量的に回答しましょう。
人事担当者は「長く働いてくれるか」を確認しますので、業務ストレス耐性、粘り強く努力した経験を話すのがおすすめです。
志望動機は聞かれない場合もありますが、自身の経験・スキルを応募企業で行かせる意思を存分に伝えることが肝要です。
他社の選考状況、希望条件などははっきりと伝えましょう。
他社の選考が進んでいる場合、より有利な条件を引き出せる場合があります。
以上、一次面接のよく聞かれる質問と内容のまとめでした。
緊張せず、笑顔で頑張ってください!